ひろしま美術館

香月 泰男1932~1997

 山口県三隅町に生まれる。1931年、東京美術学校西洋画科に入学。在学中から、梅原龍三郎の指導する国画会に出品。1936年、同校を卒業後、北海道で美術教師となるが、制作上の不振に陥り、帰郷を切望する。1938年より、下関高等女学校に勤務。1939年の国画会14回展で国画奨励賞、第会文部省美術展覧会で特選を受賞。翌年の国画会15回展では佐分賞を受賞、同人に推挙されるなど、着実に画歴を重ねる。太平洋戦争中の1943年に応召し、中国東北部ハイラル地区の第19野戦貨物廠営繕係に配属される。1945年、敗戦後シベリアに抑留され、1947年、帰国。まもなく制作を再開する。1948年生家に近い大津高等学校に転勤、1960年まで同校に勤務。1962年、国画会を退会し、自由な創作活動の日々を送る。1956年から翌年にかけての渡欧を機に、東洋画と西洋画の融合を目標とし、独自の黒を主調とする硬質なマティエールを確固たるものとした。シベリアでの過酷な収容体験を描いた《シベリア・シリーズ》をライフ・ワークとする一方、身辺の何気ない品々、事物、家族の日常、郷里の風景などをモティーフに、詩情溢れる作品を描き続けた。三隅町の自宅で没。

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香月 泰男
《津和野(島根県)》

1972年 油彩, カンヴァス 80.0×53.0cm

Yasuo KAZUKI
Tsuwano Town, Shimane Prefecture
oil, canvas

この作品は、幼くして生別した母親が住んだ津和野を描いたもので、眼下に見える町並みと霧を隔てた遠方に津和野のシンボル青野山を望む。シベリア抑留中に母は亡くなり、復員後の再会は果たせなかったが、青野山の女性的な稜線が織り成すこの地は、感慨ひとしおの土地だったにちがいない。

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