ひろしま美術館

ポール・シニャック1863~1935

 点描法で知られる新印象主義を、スーラとともに代表するフランスの画家。夭折したスーラに代わって、「色彩のもつ表現性」を推し進め、20世紀絵画の展開に果たした役割は大きい。
 パリで裕福な家庭に生まれる。モンマルトルに程近い芸術家たちのアトリエが密集する地域で少年時代を過ごし、当時活動をはじめたばかりの印象派、とくにモネ、シスレーの作品に惹かれて、画家の道を志す。セーヌ河岸で制作中にギヨーマンと偶然知り合い、彼に誘われる形で、独立美術協会(アンデパンダン展)の創設に参加。その発会式でスーラと出会い、彼との交友のなかで、点描法(分割技法)を用いるようになる。その後、パリ、アニエール、ブルターニュなどを行き来して制作、スーラとともに「新印象主義」の代表的な画家と見なされるようになった。また、その色彩理論そのものに関心を持って研究をはじめている。
 ところが、1891年スーラが急死。その落胆を癒すために南仏を旅行した際、サン=トロペを見出す。以後、この地とパリとの二重生活が続くが、強烈な太陽のもと光と影の色彩豊かな風景を前に、ショックからも立ち直り、その技法もさらにすすめて、色彩は一段と輝きを増していく。スーラ亡き後、必然的に新印象主義の指導的役割をも担うようになり、サン=トロペには、若い画家たちが多く集まってきた。その中には、マティス、ドラン、マルケなど、次世代を担う若者などがいる。一方で、独立美術協会会長をつとめたり、『ドラクロワから新印象主義まで』などの著書を著すなど、理論的・教育普及的な方面でも功績を残している。
 内省的で控えめなスーラに対し、社交的で多彩な活動と才気を発揮したシニャックは、スーラ亡き後その技法・理論を発展させて大きな影響を残した。パリで没。72歳。

ポール・シニャック《ポルトリュー、グーヴェルロー》
 

ポール・シニャック
《ポルトリュー、グールヴロ》

1888年 油彩,カンヴァス 46.2×55.5cm

Paul SIGNAC
Gourvelo, Portrieux
oil, canvas

スーラとともに「新印象主義」の実験、いわゆる「点描法」を精力的に行なっていた頃の作品。スーラがしだいに人工の光に照らされた室内の情景を描くようになったのに対し、ヨット・マンでもあったシニャックは終始水辺の風景を愛した。ブルターニュ半島の北部ポルトリューの港を描いたもの。

ポール・シニャック《パリ、ポン=ヌフ》

 ポール・シニャック
《パリ、ポン=ヌフ》

1931年 油彩,カンヴァス 73.0×92.0cm

Paul SIGNAC
Le Pont-Neuf, Paris
oil, canvas

 

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