ひろしま美術館

アンリ・ルソー1844~1910

 フランスの西北部のラヴァルに生まれる。父はブリキ職人だったが、不動産業に手を出して失敗し、家族はあちこち移転を繰り返す。代訴人の事務所で見習いとして働いていた19歳の時、小額の金銭と切手を着服し、1ヶ月の禁固刑を科せられる。刑務所暮らしと兵役を終えると、父の死後の一家を支えるために1868年パリに出る。下宿屋の娘クレマンスに一目惚れをし、結婚。妻の縁故で1871年からパリ市入市税関に入り、22年間勤める。後に「税関吏ルソー」と呼ばれたのはこのためだが、実際は下級官吏であった。余暇に絵筆を握るようになったのも、この頃と推定されている。
 1885年、初めてサロンに作品を送るが落選し、これを無鑑査のアンデパンダン展に出品。以後毎年のようにアンデパンダン展に出品するが、彼の作品は、ごく一部の批評家を除き、人々の無理解にさらされる。  1893年の暮に退職して画業に専念するようになる。1906年アポリネールを知る。この頃から 彼の作品は、ロベール・ドローネ、ソニア・ドローネ、ヴィルヘルム・ウーデ、画商ヴォラール、ピカソなどの当時の前衛的な画家、及び画商などの注目を集め出す。没後翌年、アンデパンダン展においてルソーの回顧展が開かれる。  

アンリ・ルソー《要塞の眺め》
 

アンリ・ルソー
《要塞の眺め》

1909年 油彩,カンヴァス  45.8×55.0cm

Henri ROUSSEAU
Vue des fortifications
oil, canvas

当時パリにはまだ、街を守るためにめぐらされた城塞の跡がところどころに残っていた。「税官吏ルソー」のあだ名は、彼がパリの入市税関に働いていたことに由来するが、勤務先であったブーローニュの森に近いヴァンヴ門にも要塞の名残があった。そのあたりの情景を描いた作品である。

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