ひろしま美術館

エドガー・ドガ1834~1917

 1834年、パリの裕福な銀行家の長男として生まれる。芸術を愛する趣味人であった父の影響を受けて、幼い頃から絵画に興味をもつ。最初、法律を学ぶが、21歳から画家に転向し、エコール・デ・ボザールでアングルの弟子の一人であるルイ・ラモートに師事した。だが、アカデミックな講義は肌に合わず、ほとんど出席しなかったという。1856年から3年間滞在したイタリアで、巨匠たちの作品から古典的な画面構成や技法を学ぶ。帰国後は重厚な歴史画や肖像画を描いていたが、次第に競馬、踊り子、音楽家、洗濯女、カフェの情景、浴女といった、いわゆる「近代生活」のテーマを、鋭い線描と鮮やかな色彩によって扱うようになった。1861年にマネと知り合い、74年以降に開かれた全8回の印象派展のうち、7回出品しているが、他の印象派の画家たちとは明らかに異なり、戸外の光のもとで制作するよりも、屋内で人物を描くことを好んだ。純粋な風景画は決して多くない。ドガの興味は、人物や馬が見せる瞬間の動きにあり、それをカンヴァスに再現するために、デッサンを繰り返し、また浮世絵から学んだクローズ・アップやスナップショットなどの手法を積極的に絵画に応用した。
 30代半ばに普仏戦争に従軍した頃から目を悪くし、そのためもあって1886年の第8回印象派展を最後にほとんど作品を一般に公開していない。目の衰えがひどくなると、油絵を放棄してパステルに専念し、蝋や粘土による彫刻の制作を始めている。しかし、70歳になる頃にはほとんど見えなくなり、最晩年の十数年間は制作も思うようにならなかったという。1917年、ドガは83歳でひっそりと息を引き取った。

エドガー・ドガ《馬上の散策》
 

エドガー・ドガ
《馬上の散策》

1867-68年 油彩,カンヴァス 71.0×90.5cm

Edgar DEGAS
La Promenade à cheval
oil, canvas

乗馬は印象派時代のブルジョアたちに人気の娯楽であった。1861年ドガは、ノルマンディーにある友人の別荘に滞在する。近くに馬の飼育場があり、そこで見た馬の美しさに魅了された。馬をテーマにすることによって、ドガは、近代生活の画家、印象派の画家へと変貌するのであった。

エドガー・ドガ《浴槽の女》

エドガー・ドガ
《浴槽の女》

1891年頃 パステル,カルトン  71.5×71.0cm

Edgar DEGAS
La Femme au tub
pastel, carton

1886年最後の印象派展にパステル画による裸婦シリーズを出品して以来、裸婦はドガの生涯に渡るテーマとなった。一方で、印象主義者にとって主要なテーマであった風景画をほとんど描いていない。彼が選んだのは、近代都市パリの情景であり、そこに生きる人々の飾らない姿であった。

エドガー・ドガ《赤い服の踊り子》
 

エドガー・ドガ
《赤い服の踊り子》

1897年頃 パステル,カルトン  64.4×50.2cm

Edgar DEGAS
Danseuse en robe rouge
pastel, carton

エドガー・ドガ《右手で右足をつかむ踊り子》
 

エドガー・ドガ
《右手で右足をつかむ踊り子》

1896-1911年 ブロンズ  51.5×31.5×27.0cm

Edgar DEGAS
Danseuse tennant son pied droit avec sa main droite
bronze

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