ひろしま美術館

カミーユ・コロー1796~1875

 パリに生まれる。父はラシャの卸業を、母は高級帽子店を営む裕福な家庭に育つ。11歳の時、ルーアンの中学校に入学し、寄宿先の父の友人の影響により自然に親しむことに深い喜びを見出すようになるが、一方で学業に専心することができず、退学となる。パリの学校を卒業後、後継ぎを期待されて始めた家業の見習いにも馴染めず、暇を見つけては戸外でスケッチをしたり、アトリエでのデッサンに励んでいた。幼い頃からの夢であった画家になることを両親から許されたのはようやく26歳になってからのことである。ミシャロンついでベルタンという二人の新古典主義の風景画家に師事し、1825年には憧れの地イタリアを訪問、1828年までの滞在中、古典を学ぶとともにローマを拠点にイタリア各地を訪れ、陽光に映えるローマ市街や田園風景を描いた珠玉の風景画を残した。帰国後は、父の別荘のあったヴィル=ダブレーやフォンテーヌブローの森など、パリ郊外の豊かな森、またイタリアへの再訪を含め写生旅行にでかけた各地の風景をテーマに、最初のイタリア滞在時の風景画に連なる確かな造形性を見せる風景画と、また、1850年以降に顕著となる銀灰色のヴェールに包まれたノスタルジックな抒情をたたえる風景画というふたつの様式の風景画を描いた。とくに前者の明快なヴィジョンは、のちの印象派を予告するものといわれる。サロンへの入選を重ね、1855年のパリ万国博覧会では、6点の抒情的風景画を出品し、アングルやドラクロワをおさえて、最高賞を受賞。一躍その名声を確たるものとした。風景画ばかりではなく、人物画にも力量を示し、《真珠の女》などの名作がある。パリで没。

カミーユ・コロー《花の輪を持つ野の女》
 

カミーユ・コロー
《花の輪を持つ野の女》

油彩,カンヴァス 55.5×46.5cm

Camille COROT
Paysanne assise dans la verdure, tenant une guirlande de fleurs
oil, canvas

カミーユ・コロー《ボロメ島の浴女たち》
 

カミーユ・コロー
《ボロメ島の浴女たち》

1872年頃 油彩,カンヴァス 127.0×88.3cm

Camille COROT
Les Baigneuses des îles Borromées
oil, canvas

コローが憧れの地イタリアを初めて訪れたのは1825年のことであったが、この作品は半世紀も後に描かれたものである。ボロメ島は北イタリアの景勝地マジョーレ湖に浮かぶ島のひとつ。銀灰色のヴェールにかすむ風景の中に小さな人物を配した、晩年のコローに典型的な作品である。

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